MASAKIです。
今回は、SGホールディングス(佐川急便)のIPOについて
『MASAKIさんはどう思いますか?』
との質問をいただきましたので、私の見解をまとめました。
IPOに投資する際は、いくつか気を付けるべき要点があります。その点から、SGホールディングス案件について詳しく見ていきます。
それでは始めます。
1)IPOの結果は相場環境に左右される
まず初めに、 IPOの結果は相場環境の良し悪しや市場参加者の心理状況の影響を強く受ける事実が過去の結果から明らかになっています。
2006年から10年間のIPO騰落状況を時系列で見ていきます。 上場後に付いた初値が公募価格を上回れば「勝ち」、下回れば「負け」、同値だと「分け」という基準で過去の勝率を算出すると以下のようになります。
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2006年 196社 163勝24負9分 (勝率83.2%)
2007年 122社 89勝30負3分 (勝率73.0%)
2008年 51社 20勝28敗3分(勝率39.2%)
2009年 19社 13勝4負2分 (勝率68.4%)
2010年 22社 10勝9負3分 (勝率45.5%)
2011年 36社 19勝14負3分 (勝率52.8%)
2012年 50社 39勝11負0分 (勝率78.0%)
2013年 60社 56勝3負1分 (勝率93.3%)
2014年 83社 65勝15負3分 (勝率78.3%)
2015年 97社 84勝11負2分 (勝率86.6%)
2016年 92社 70勝21負1分 (勝率76.1%)
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2007年のアメリカサブプライム住宅ローン危機から連鎖的に発生した2008年のリーマンショック等を含む世界金融危機のあおりを受けて、上場社数、勝率ともに低下し、経済環境の持ち直しにとともにIPO市場も回復を見せていることが分かります。
2)2017年のIPO市場について
現在のマーケットに目を向けますと、今月7日には日経平均株価が バブル経済崩壊後の戻り高値を更新し、1992年1月以来、25年ぶりの水準に達しました。
相場を押し上げた最大の要因は企業業績にあります。
上場企業の2017年度業績は、1960年以降で最長となる6年連続の増益が確実視されています。
次に、
最近、『適温経済』、あるいは『適温相場』という言葉が盛んに使われるようになっています。緩やかに続く世界的な好景気と金利が低水準にとどまることにより、過熱も減速もしない『適温経済』が続いているというのです。
低金利の常態化は、家計と企業から金融市場へと出回るお金の流れを、預金、債券市場から株式市場へとシフトさせることになりました。
この新たなお金の流れは2017年のIPO市場にも活況をもたらしています。
今年2017年のIPO件数は、これまでのところ69社です。騰落状況は61勝8敗となり、勝率は88.4%という結果です。
上記で示した過去の騰落結果と比較しても高い勝率を記録しています。
儲かりやすい状況だと言えます。
この数値を見ると、当然、「SGホールディングスのIPOに申し込むべきだ」となるのが自然だと思います。
が、私はいささか注意が必要だと考えます。
3)吸収金額が指し示す需給状況
申し込むかどうか考え中のIPO案件を評価する際、投資家が確認すべき情報に『吸収金額』があります。
吸収金額とは、企業が新規に株式を公開した際に市場から調達した資金額のことを指します。
この吸収金額は、企業が新規に発行した株式数と、既存株主が売り出す株式数の合計に、公募価格を掛け合わせることで計算できます。
一般的には、
『吸収金額が小さいほど、上場後、株価が上昇しやすい』と言われています。
吸収金額が少ないということは市場に供給される株式数が少ないことを意味しています。 そのため、供給される株式数よりも投資家からの需要が大きくなりやすく、 公開後、株価の値動きが軽く、上昇しやすい傾向があるのです。
また、吸収金額が小さいということは、企業規模が小さい会社ということでもあります。
成長力という観点から見ると、大企業よりも中小企業のほうが高い成長が期待できます。
それゆえ、小型株は将来的な成長性を株価に織り込みやすく、このことも株価の上昇要因となります。
吸収金額が10億円以下の上場は小型案件とみなされ、注目が集まり、人気化する傾向にあります。
SGホールディングス上場に関して、私が気になるは、1244億円というの回収金額の大きさです。
今年のIPOで100億円を超えた案件は7件ですが、勝率は2勝5敗(勝率28.5%)でした。
SGホールディングスはさらにそれらを一桁上回る、千億規模の回収金額を抱えて上場することになり、その点を少し心に留めておきたいところです。
4)上場前の大口株主がベンチャーキャピタルの案件には注意
企業が上場する目的はさまざまあると思います。
- 資金調達。
- 社会的信用が格段に高まる。
- 創業者利益の享受
などです。
しかし、中には投資家が注意しなければならない上場というものがあります。
それは、ベンチャーキャピタル、投資ファンドによる買収・再建を経て、その投資回収の出口戦略として東証1部に再上場するケースです。
今年の上場では2件あり、3月22日に再上場したマクロミルの初値騰落率はマイナス4.26%。3月30日に再上場したスシローグローバルホールディングスの初値騰落率はマイナス4.76%と、いずれも初値が公募価格を下回っています。
今回のSGホールディングスの大口株主にはベンチャーキャピタルは見当たりませんので、その点は需給面でプラスと評価できます。
まとめ)
今回、IPOに投資する際の注意点とともにSGホールディングス案件を見てきました。
最後に、私が投資家としてIPOについて申し添えることがあるとするならば、
『それが優良なIPO案件であるならば、営業マンがセールスする必要がない』
ということです。
[su_highlight background="#fffc99" color="#ff1c2b"]基本的に売り手が熱心に売っているものというのは買ってもメリットが無いことが多い[/su_highlight]のです。
当ブログ訪問者様の投資判断が良い結果となりますよう祈念いたします。
ありがとうございました。