私の投資法 金持ちの思考

グランビルの法則を信奉し破産する日本人 テクニカル分析に潜む罠

 

 MASAKIです。

 

 あなたは株や投資信託を買う時、チャートを見てテクニカル分析をされますか?

 

 もし、なさるのであればグランビルの法則という移動平均線を用いたチャート分析手法をご存知という方も多いと思います。

 

 チャートの見方やテクニカル分析を扱った大抵の本の中で紹介されるくらい有名な投資手法なので、初めて株を買ってみようと思われた方などは、グランビルの法則で示された8つの売買ポイントなるものを株を買う時の頼りにされているのです。

 

 これは一般人が辿る投資の日常として、至って普通の光景です。 

 

 しかし、私の経験から申し上げたいのは、

 

 グランビルの法則を頼りに投資をスタートするなど[su_highlight background="#fffc99" color="#ff1c2b"]命知らずにもほどがある[/su_highlight]ということです。

 

 かの有名な8つの売買ポイントなるものの迷宮に迷い込んだがために、無用な形で大切な資金を失ってしまうことの無いよう、ささやかな問題提起となればと思い今回の記事を書き進めています。

 

 

グランビルの法則とは

 ジョセフ・グランビルその人

ジョセフ・グランビル

ジョセフ・グランビル氏

 

 私たちはグランビルの法則をいきなりマーケットで試す前に、その発案者であるジョセフ・グランビルとはいかなる人物であるのかを知っておくべきだと思います。

 

 アメリカの金融ライターであり、投資セミナー講釈家 ジョセフ・グランビル(1923年8月20日~2013年9月7日)はオンバランスボリューム(On Balance Volume:OBV)という出来高に注目したテクニカル分析手法の発案者として知られています。

 

 彼は、株価の大きな変化を伴うことなく出来高だけが急激に増加したとき、やがて株価も急上昇する。その逆もしかりだと主張したのです。

 

 オンバランスボリュームは、過去の価格や出来高の情報が利用可能な株・コモディティなどの将来価格を予測するためのテクニカル分析手法の一つです。

 

 グランビルは人気を博した金融ニュースレター『グランビルのマーケットレター』を1963年から、彼が没する直前の2013年まで発行していました。たびたびCNBCなどのテレビ番組に出演し、全米各地でセミナーも開催しました。

 

 グランビルは恐らく、1970年代、80年代、90年代において、株式市場の崩壊が差し迫っていると主張した弱気のニュースレターによって最も知られています。

 

 また、彼は投資会議で棺桶から現れたり、クライアントに会う際にはプールの水上を歩いて渡って登場するなど優れたショーマンとしても知られています。

Wikipediaより

 

 他にも、New York Times BUSINESS DAYによれば、

 

And like many other market forecasters, his overall performance was “very poor” compared with that of basic stock index funds, said Mark Hulbert, editor of The Hulbert Financial Digest, which has tracked the performance of investment advisory newsletters since 1980.

 

 1980年以来、投資助言ニュースレターのパフォーマンスを追跡してきたハルバート・フィナンシャル・ダイジェストの編集者 マーク・ハルバート氏は、他の多くの市場予測者と同様に、グランビルの全体的なパフォーマンスは基本的な株価のインデックスファンドのそれと比べて「非常に悪い」と述べている。

 

Mr. Hulbert said that from 1980 through January 2005, Mr. Granville’s stock tips for investors lost 0.5 percent on an annualized basis, compared with an 11.9 percent average yearly gain for a general stock index. Mr. Granville’s tips for more aggressive traders lost an average 10 percent a year over that period, Mr. Hulbert said.

 

 またハルバート氏によると、1980年から2005年の1月にかけてグランビルが提供した、投資家に向けた株式情報の年率換算での成績は0.5%のマイナスであったのに対し、一般株価指数は年平均11.9%のプラスとなった。

BUSINESS DAY Joseph E. Granville, Stock Market Predictor, Dies at 9 より

 

 お読みになってみて、いかがでしょうか?少なくとも彼は、優れた投資家というわけでも経済の専門家というわけでも無いようです。

 

 要するに、グランビル氏は、

 

[su_highlight background="#fffc99" color="#ff1c2b"]自分で作ったグランビルの法則を使って、優れた投資パフォーマンスを残したわけでは無い[/su_highlight]ようなのです。

 

8つの法則

 ここでグランビルの8つの法則を具体的に説明しておくと、

 

  1. 移動平均線が下落から横ばいに転じた後、株価がその移動平均線を上抜いたら買い。
  2. 上昇中の移動平均線を株価が下回った後、反発したら買い。
  3. 株価が移動平均線より上にあり、上昇中の移動平均線を割り込むことなく反発したら買い。
  4. 下降中の移動平均線より株価が大きく下へと乖離したら買い。

 

 売りは上記の買いポイントを逆にしたもので、合計8つの法則が出来上がります。このグランビルの法則はどういうわけだか、とりわけ日本では権威あるテクニカル分析として認識されているようです。

 

この法則が危険な理由

 冒頭でも述べましたが、この法則なるものを用いて投資をしていては命がいくらあっても足りません。

 

 この法則が危険かつ悪質なところは、投資初心者がこの法則を根拠にしてテクニカル分析にはまり込んでしまうと、8つの売買ポイント全てにエントリーし終えた頃には、資金が底をついてしまうことです。

 

 「よしっ、ゴールデンクロスで買いだ!あれおかしいな?だましにハマったのかな?次は、サポートラインを割込まず反発したから買い!あれっ?おかしい!?また損失を出してしまった。そうだ、相場に過熱感があるからかもしれない、次は売りで入ってみよう、、、」みたいなことを繰り返している内に損を取り返そうとする心理の無限ループにはまり込んで抜け出せなくなるんです。最悪です。

 

 人が破産するテクニカル分析って一体なんなんですか?

 

 そもそもグランビルの法則の論理的根拠である移動平均線とは単なる株価の終値を平均した線の事であり、そんな子供でも計算できる一本の線を頼りにした法則なるものが成立するのであれば、今頃、世の中の全員が大富豪でなければ説明がつきません。

 

  これだけこの法則が普及している背景には、どうも、顧客に売買を回転させて業界の利益を優先するマーケティングが関係していると見るのは穿った見方でしょうか?

 

投資家として必要なこと

 私は、投資家が相場観を自らの内に養うためには、とにかく何か一つだけ得意な売買ポイントを絞り込んで、他は脇目も振らずその一点にフォーカスする必要があると考えています。私の場合は、まずは売り込まれる銘柄だけに的を絞り、その他の売買ポイントを意識から遮断することで銘柄の選別眼を育てて行ったのです。

 

 「下がれば買えばいい」「上がれば空売りをすればいい」「権利確定日前は両建てでエントリーしておこう」などという中途半端な考えでは結局、自分を混乱させてしまうだけなのでは無いかと危惧します。

 

 思うに、投資で成功するために必要な武器はたった一つで十分なのです。

 

 きちんと機能する売買ポイントをたった一つ作ることができれば、あとはそれを繰り返すだけで資産を構築することは可能なのだと思います。

 

 

 

 

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